ランディングネットが1年かけてやっと完成した。まあ、根詰めてやれば数か月でできるのだろうが、遅々としてなかなか進まなかった。

いや~けっこう大変でした。
ランディングネットを店やネットで買うとなるとだいたい、5~7万円くらいする。銘木等を使用していたり、有名どころが作製したものだと10万円以上。となるとそんなの買ってられんと思った。もちろん、ネットで中華製のを探せば安価なものもある。しかしだ!フライフィッシャーという人種はこうゆう半端物には目もくれない人が多い。
ところで、昔、オレゴンに居をかまえたころ、僕は家のガレージでバンブーロッドを作っていた。当時、ベンドの近くのシスターズという町というか村にあのペインロッドカンパニー(NYだったかな?メインだったかな・・・から引っ越してきた)があって、「竹竿で食べていくんだ」と本気で思っていた僕はあしげく通って、いろいろと教えてもらってたことがある。いま思えば、いきなりアジア人が来て、竹を分けてくれだの、教えてくれだの、いま考えると厚かましかったなあと、親切に相手をしてくれたDaveさんには感謝しかないのである。ちなみそのあとはハワイに引っ越したので、もうスペースの関係で作製はしなくなった。ということで器用さには自信があった。
話はそれたが、要するにランディングネットがあまりにも高価なので、だったら自分で作っちゃえと思ったのだが、これが甘かった。
なんで、高価なのか?は実際に作ってみてわかった。

木材は花梨を使用してます。この木目がほんとうに美しいのだ。
めちゃくちゃ手間がかかるのだ。いちばん難しかったのは、コーティング工程だ。まず、1000番くらいの耐水ペーパーでツルツルになるまで磨ぎ、その上にサンディングシーラーを塗る。はしょって説明すると、目には見えない木目の隙間や、デコボコをこれで埋めるというかならすのだ。まあ「とのこ?」みたいなものか。これを塗って、乾燥、研磨して・・・を5回くらい繰り返す。当然、毎日やれば5日で済むがそんなヒマではない。で、次はウレタンコーティングだ。これも同じ感じで8回くらい重ねたかな。で、それが終わると1000~1200番くらいの耐水ペーパーで研磨。で、そのあとコンパウンドで磨き。この磨きは木がガラスのように輝いていくので比較的楽しい作業ではある。

フレームに専用糸で結わえ付けていく。網は専門のかたに編んでもらった。さすがにこれはしんどい。
とまあ説明だけ聞いていると「なあ~んだ」と思うだろうが実際にやってみるとひじょうに大変でストレスがたまりまくる。特にコーティング作業はシンナーを使うので、ベランダでの作業だが、微量ながら家に入り込む。これがまたクサイ!近所の人も「なんだこのにおい」と思ってたに違いない。ちなみにフレームの曲げ、接着の説明は長くなるので割愛する。
というわけでとにかく手間暇がかかるのがランディングネット製作なのだ。ゆうなれば工芸品ですね。プロの人でもおそらく月に数本できればいいほうかな。これだからバカ高いのだ(と思う)。

出陣を待つばかりのネット。こうしてみるといや~美しい。オレンジのクレモナネットが最高。自画自賛。
あ!それと自作した理由がもうひとつある。それはちょうどいいサイズが売ってないのだ。渓流でフライやってるかたは意外に小さなネットを装着している。なぜか、お分かりだろうか。答えは想像にお任せしますが、そうゆうかたが多い。僕はある程度大きめが欲しかった。それは魚をすくいやすいのと、魚がネット内で曲がらないように最小限のダメージに抑えたかったからだ。なので、フレームの縦位置の長さはぴったり30センチにした。つまり、魚を横たえて縦枠いっぱいならば30センチとわかるようにしたのだ。
ということで、川に思いを馳せ、ネットを眺めてはひとりニヤニヤ悦に入っているあやしいおっさんなのだ。
フェイスブックで紹介したところ、何人かの人から作ってくれと頼まれたが、丁重にお断りした次第である。いつ出来上がるかわからんしね。シンナーくさいし。将来、北海道に帰ることができればまた工房もちたいなあとは思う。どっか田舎でもいいし。
今週あたり、そろそろ新潟の川も水量が落ち着いていいかなと思っとります(コロナ完全無視)、あ~はやく入魂したい!
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