最近「フライフィッシングをやりたいんだけど道具そろえるのにいくらかかるの?」と聞かれることが多い。コロナ禍でキャンプを始めたよという方が多いせいなのか。昔だとこの手の質問はまずなかったね。YoutubeやSNSで芸能人や女性がやったりするのでその影響かなあと思う。ちなみに、フライフィッシングやってますというと、かなりの確率で「あ~あのブラッド・ピットがでてた映画のやつでしょ~?なんかクルクルするやつ」と言われる。まあ間違ってはいない。著作の問題であの画像はあげないが、だいたいあのイメージね。

尺やまめ。自然渓流だとなかなかこうゆうのには出会えなくなってきたね。
話をもとに戻すと、始めるにあたっていくらかかるのか?ほんと難しい質問です。なんでかって、本当のコストを言うのに気が引けるからだ。言うと、怒られるんじゃないかと妙に遠慮しちゃったりする。しかしながら、あえて言うと、ざっくりひと揃え20~30万円くらいになる。
なんでそんなにかかるのか!というと、ズバリ、他の釣りに比べて需要が圧倒的に少ないからだ。だから、価格に影響する。もうひとつは、一本の竿でなんでもできるという訳にはいかず、魚の大きさ、釣る場所、水深、飛距離等、シチュエーションによって装備が違ってくる。海釣りの場合、こだわりがなければ、舟竿やルアー竿でなんでも釣るということをやろうと思えば可能なんですが、フライフィッシングはこれができない。フライラインにはオモリがないので、フライラインの自重とテーパーの力学によって飛ばす、飛ばすというか運ぶ?感じかな。しかも、魚をびっくりさせないようにポイントに毛ばりを落とすので、ロッドとラインとのシステムが完全にマッチしていないと難しいのです。詳しいことはここでは書かないです、まあ全く違うもんだと思ってください。

ちなみにフライラインだが、グレードの良いものだと、一万円以上する。
上の写真は、フライラインだが、値段は一万円前後する。「WF-3-F」と表記されているのは、Weight Forward の3番でFloating(浮くラインの意味)と解する。関東や東北の一般的な渓流には一番汎用性の高い番手だ。フライフィッシャーなら100%もっている。ハウツーブログではないので詳細は割愛するが、要するに、釣る環境によって、こんなのがロッドとリールも併せて何セットも必要になるのだ。
じゃあ、お金がないとフライはできないのか!というと、僕はできた。参考にはならんが、ちょっと幼いころの話をすると・・・。
僕は幼いころ、札幌いた。父の影響でフライを始め、中学生くらいから加速的にのめりこでいくわけだが、当然、お金なんてないから、夕刊の新聞配達を始めた(当時アルバイトは禁止されてたけどね。吹雪の中で一回死にかけた)。新聞配達のアルバイト代なんてたかが知れてるから、道具なんて買えない。札幌にあるテムズという専門店にかよっては、リールやロッドを穴あくほどながめた。アルバイト代はすべて毛ばりを巻くマテリアル代に消えた。だからロッドは持っていた振出渓流竿で代用。適当なところでガイドをつけて改造した。ラインだけは代替物がないので買った。6,000円くらいだったかなあ。リールはシェイクスピアという廉価なリール。北海道はトラウトもいっぱいいたし、スレてなかったので当時は問題なく釣れた。ロッドケースは製図を入れるプラスティックの筒で代用。これは我ながら名案だったね。だからなければ自分で工夫し作り出すということもできる。

オレゴン時代にのめりこんだバンブーロッドビルディング。販売もしていた。右が自作、左は師匠のペインロッドカンパニーでカスタムメイドしたもの。当時$3000くらいだったかな(6feet, #3)。右の自作ロッドはいまもって現役です。ギャリソンテーパーの#3~4ラインです。
今はいい時代になりましたね。ネットで、ものすごく安価に道具がそろうからね。amazonやヤフオクなんかで検索するとリールもロッドも数千円で手に入る。ウェアだってワークマンやユニクロもあるし。先日、2000円のフライラインをヤフオクで買って阿寒川で使って50センチオーバーのレインボーをなかり釣ったけど、まったく問題なかったね。
ということで、「いくらかかるの」と聞かれたときは、「まずはネットで安いものを買って、試してみたほうがいいよ」と言うようにしている。面白いから続けてみたいとなったら、徐々に自分が気に入った道具に投資してみればいいと思うのです。そのタックルでまずは管理釣り場で試してみる。たくさん魚を放流しているので、そこそこ釣れる。「そこそこ」というのはマス類は学習能力が極めて高いのでけっこうスレているので、そうやすやすとは相手にしてくれないがこれがまた熱くさせる。
フライフィッシングは毛ばりを自分で巻くので、他の釣りにくらべかなり手作り感満載です。ですから、釣れた時の喜びは格別なものがありますね。それと、山で川のせせらぎの音、鳥のさえずりをBGMに河原でカップ麺やおにぎり食べることをぜひとも体験してほしい。どこの高級レストランよりもうまいぞ。これを本当の「贅沢」というのだ。
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